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「これ以上老いるのが嫌なら参拝をやめるといい」
「…やめないわよ」
結婚してやるんだから、絶対に――。ぎりと歯を食いしばった私を見て、蛇はふん、と笑った。
「荒れているな。男に振られたせいか?」
私は顔を上げた。――何で知っているのだ。
「結婚できない相手と縁が切れたのだ。よかったじゃないか。参拝効果だな」
私は蛇を睨みつけた。イライラの原因はそれだけじゃない。
先週、法事があったのだ。
産院で会った以来の妹は私を見るやいなや、「あれ? お姉ちゃん、なんか急に老けた?」と目を見開いた。さらには親戚連中に「お母さんにそっくりになってきたわねえ」「似てないと思っていたけど、やっぱり親子だわね」などと口々に言われたのだ。やつらの目に浮かぶ憐みと優越感――屈辱だった。
怒りを滾らす私の横で、蛇はのんびりとした口調で言った。
「日焼け止めを塗れ。昨今の女人は皆そうしている」
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