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「おっ、お前の野望のウンベラータじゃないか」
とウンベラータの前に来たとき准が笑った。
だが、実は結婚式のあと、100均で小さなウンベラータを見つけて買ったのだ。
ひょろひょろして小さなウンベラータだったが、葉名は窓辺に置き、せっせと水をやっている。
いつか此処のウンベラータに負けないくらい立派な木になることを夢見て。
水と土と緑の匂いに包まれた植物園で、葉名はバナナを見た。
あのとき思った。
准さんがバナナで、私がその下で守ってもらっているコーヒーの木。
でも、私は私で准さんを支えたい、と思いながら、チラ、と准を見ると、准もチラとこちらを見た。
准もバナナとコーヒーの木を見ていたので、きっと同じようなことを考えていたのだろうと思っていたが、准は、
「お前、きっと新しい家も散らかすんだろうな」
と笑顔で言ってきた。
……断定しないでください、と思う葉名に准は言う。
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