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「いいよ。
言ったろう。
散らかっていくのは、新しい思い出が積み重なっていっている証拠。
また、二人で片付けよう」
思い出が積み重なって、家がいっぱいになって。
また片付けて、新しい思い出を重ねていって。
そうして、ずっと生きていく。
二人で――。
准がそっと口づけてきた。
「あーっ。
なにやってんだよっ、僕の植物園でーっ」
と遠くから誠二が叫んでくる。
准が振り返り叫び返していた。
「お前のものじゃない、俺のものだっ。
だって、葉名は一生俺のものなんだから、葉名の植物園も俺のものだっ」
だから、貴方は、どちらのジャイアン様ですか……。
そう思いながらも葉名は、『葉名は一生俺のもの』という准には反論せずに。
ただ、赤くなってうつむいた――。
完
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