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そこで、准が、
「嫌がらせか。
それもいいな」
と言い出した。
「だって、こいつ、俺が此処に来る前の、葉名がひとりで寝ていたときの音も全部聞いてたわけだよな。
葉名が可愛らしく寝返りを打つ音とか」
いや、そんな、と葉名は照れる。
「可愛らしく寝言を言う声とか」
……私、寝言言ってますかね?
「可愛らしくイビキをかくのとか」
「イッ、イビキはかいてませんよっ」
と叫んでみたが、自信はない。
自分ではわからないからだ。
思わず、盗聴器に向かい、小声で訊いていた。
「わ、私、イビキ、かいてますかね……?」
「何故、そいつに訊く。
俺に訊け」
と准は言うが。
いえいえ。
貴方の口からハッキリと、お前、イビキかいてるぞ、と言われたくないからです……。
乙女の恥じらいですよ、ええ、と思いながら、盗聴器を見つめていると、准が、
「なんか葉名が俺より盗聴器男を信頼してるようでムカつくな」
と言い出した。
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