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お互いを貪り合うみたいにまた、何度も口付けを交わして。
それから俺は陽の体を床に押し倒し、紅潮した彼の頬に触れながら、聞いた。
「...覚悟しとけって昨日言われたの、覚えてる?」
ますます真っ赤に染まる、陽の顔。
「ちゃんと準備も、してきたから。
...中も綺麗なはずだから、大丈夫。」
微笑んで口にされた、想像以上の覚悟につい吹き出した。
「やる気、満々かよ!
...ったく、マジで可愛すぎ。」
力一杯抱き締めて。
それからコイツの服を脱がそうとしたんだけど、そこで手を止められた。
不機嫌さがつい顔に出てしまったのか、陽はちょっと怯えたような表情で、俺の事を見上げた。
「...覚悟、出来てるんじゃねぇの?」
すると陽は目蓋を一瞬だけ閉じて、それからゆっくりと開き...ニヤリと笑った。
「...着たまま、やろうぜ?
俺、変態だからさぁ。」
ククッ、と笑うその表情はいつも教室で見掛ける、陽気でヤンチャで、気紛れでちょっぴりワガママな人気者の顔。
でも、どうしてだろう?
...見慣れているはずのその顔に、何故か違和感を覚えた。
しかしそんなのは陽に触れ、そして触れられると、一気に霧散した。
二人、まるで獣にでもたったみたいにただお互いの唇を求め合い、貪り合う。
上の服を脱がせるのは抵抗する癖に、陽は俺にされるがまま素直に下着を脱がされ、そして体を俺に預けた。
事前に調べて得た知識をいかし、俺が用意していたワセリンを手に取ると、さすがに恥ずかしくなったらしい彼は視線をそらした。
そんなコイツの姿に刺激され、嗜虐心を煽られて、陽自身に俺の指先にそれを塗るよう命じた。
「うぅ...。恥ずかしいよ、咲夜。
俺がしないと、駄目?」
涙目で問われ、自然と口角が上がる。
「駄目に決まってるじゃん...。
早くしろよ、陽。
そのまま突っ込まれたら、痛いのはお前の方だぞ?」
その言葉に陽は、小さく体を震わせた。
そして俺に言われるがまま、そのねっとりとした半透明の物を手に取り、俺の指先に伸ばした。
可愛い、可愛い、俺の陽。
頭を優しく撫でてやると、彼はふにゃりと無垢な笑みを浮かべ、俺に口付けた。
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