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溺れる
「...着たままがいいって、変態かよ。」
俺の言葉に陽は、フンと鼻で笑って答えた。
「男の俺を犯そうとしてるヤツに、言われたくねぇよ。」
再び重なり合う、唇。
今度は積極的に、求めるみたいに舌を陽の方から絡め取られた。
それに驚き、思わず唇を離して聞いた。
「...嫌じゃないのか?」
「んー...。
驚きはしたけど、嫌じゃない...、かな。
先に咲夜の事好きになったの、たぶん俺の方だし。
...これって広い意味での、『人間愛』じゃね?」
俺に組み敷かれたままクスクスと、場違いな程楽しそうに笑うコイツの瞳にもう、涙は無かった。
俺も釣られたみたいに噴き出して、そのまままた陽の、人よりちょっと大きく厚い唇にキスを落とした。
「ねぇ、咲夜。
手、離してくんない?
...ちょっと、痛ぇ。
脱がさないなら、抵抗しないからさぁ。」
本当に驚くほどいつも通りに、唇を尖らせて陽は言った。
その言葉に嘘はない様に感じられたし、痛い目に遭わせたい訳でも無かったから、言われるがまま彼の手首を解放した。
すると陽は俺の首筋に腕を回し、更なるキスを強請った。
絡み合う、舌と舌。
貪るように与え合い、奪い合う。
キスだけでは我慢出来なくなった俺は、膝で軽く撫でるみたいにして、ヤツの股間を刺激した。
「陽...、勃ってる。」
クスリと笑い、耳元で囁いた。
瞬時に陽の白い肌が、耳まで赤く染まる。
「せ...、生理現象だしっ!
そういうお前も、勃ってるじゃん。
...さっきから、当たってんだけど。」
真っ赤な顔のまま、軽く睨み付けられた。
「うん、当然。
...陽の反応が、可愛い過ぎた。」
今度は何も答える事なく、ふるふると。
...俺の腕の中、陽は羞恥に震えた。
「触って欲しい?」
焦らすみたいにそっとまた、膝を揺らすと
潤んだ瞳で陽は俺を見上げ、そして小さく頷いた。
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