溺れる

1/5
276人が本棚に入れています
本棚に追加
/76ページ

溺れる

「...着たままがいいって、変態かよ。」  俺の言葉に陽は、フンと鼻で笑って答えた。 「男の俺を犯そうとしてるヤツに、言われたくねぇよ。」  再び重なり合う、唇。  今度は積極的に、求めるみたいに舌を陽の方から絡め取られた。  それに驚き、思わず唇を離して聞いた。 「...嫌じゃないのか?」 「んー...。  驚きはしたけど、嫌じゃない...、かな。  先に咲夜の事好きになったの、たぶん俺の方だし。  ...これって広い意味での、『人間愛』じゃね?」  俺に組み敷かれたままクスクスと、場違いな程楽しそうに笑うコイツの瞳にもう、涙は無かった。  俺も釣られたみたいに噴き出して、そのまままた陽の、人よりちょっと大きく厚い唇にキスを落とした。 「ねぇ、咲夜。  手、離してくんない?  ...ちょっと、(いて)ぇ。  脱がさないなら、抵抗しないからさぁ。」  本当に驚くほどいつも通りに、唇を尖らせて陽は言った。  その言葉に嘘はない様に感じられたし、痛い目に遭わせたい訳でも無かったから、言われるがまま彼の手首を解放した。  すると陽は俺の首筋に腕を回し、更なるキスを強請った。  絡み合う、舌と舌。  貪るように与え合い、奪い合う。  キスだけでは我慢出来なくなった俺は、膝で軽く撫でるみたいにして、ヤツの股間を刺激した。 「陽...、勃ってる。」  クスリと笑い、耳元で囁いた。  瞬時に陽の白い肌が、耳まで赤く染まる。 「せ...、生理現象だしっ!  そういうお前も、勃ってるじゃん。  ...さっきから、当たってんだけど。」  真っ赤な顔のまま、軽く睨み付けられた。 「うん、当然。  ...陽の反応が、可愛い過ぎた。」  今度は何も答える事なく、ふるふると。  ...俺の腕の中、陽は羞恥に震えた。 「触って欲しい?」  焦らすみたいにそっとまた、膝を揺らすと 潤んだ瞳で陽は俺を見上げ、そして小さく頷いた。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!