光り輝く2人

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 荒廃した土地―――、草木が全く生えていなく、水も一滴も無い。辺り一面、砂漠が広がっており、そこに住み着く生物も視認できない。  そんな文字通り何も無い大地、誰も好んで訪れないであろう陸地にその2人はいた。 「とんでもなく、まずい状況じゃないか、相棒。」 「は、そうだな。まさか、この俺様がここまで追い込まれるとはな……。正直、人生で初めて死を感じている。」  その2人は冷や汗を流しながら、背中を合わせて立っていた。出で立ちは2人とも同じサイズのロングコートを着ており、中には上下、耐久性が高い服を着ていた。2人とも素材もサイズも同じ物だが、色合いが対照的である。片方は白地に青いストライプが引いてあり、もう片方は黒地に赤いストライプが引いていた。 「1匹とかなら、なんとかなったんだが、こうも数が多くては……。」 「悲観してる場合ではないぞ。ここを切り抜けなくては我々の勝利は見えない。それに、そもそもあいつらを倒さなくては”死”だからな。」  眼前には、得体も知れない生物が無数いた。陸を這ってくるのは、飛行船くらいの大きさのカブトムシの幼虫に似た生物、その少し上に飛んでいるのは、スズメバチを10倍くらいの大きさにした有翅昆虫、その大群が猛然と迫ってきている。 「そうだな。退路はもう断たれてるし。」 「はっ、全く絶望的な状況だな。俺らが勝つ確率なんて、1%もないかもしれない。」 「……だが、そんな状況を何回切り抜けてきたんだろうな。僕たちは。」 「数えだしたら切りがねえよ、そんなもん。俺らより強いやつで死んだやつもいるし、弱い奴らで生き残ってるやつもいる。戦場で生き残るには、実力より運のほうが大事だからな。」 「確かに、そうかもしれない。しかし、僕ら2人が生き残ってるのは、果たして運が強かったからだろうか?」 「ふん、そんなもん運に決まってるだろう。……ここまで、息が合うやつと戦友になるなんざ、相当運が良くなければ無理だろう。」 「それはそうだな。無条件で背中を預けられるのはお前しかいない。」 「ふん、分かりきったことを。……さあ、この絶望的な状況で、いつも通り勝利をもぎ取るか。」 「……お安い御用。」  そう言葉を交わした2人は、背中につけている鞘からコートと同じ色の剣を取り出し、光り輝き始めた。
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