サスペンスドラマ

1/13
前へ
/13ページ
次へ

サスペンスドラマ

 ……もうなんで、こんなことになっちゃったんだろう。 それにさっきから、右側にいる男の人、私の足ばっかチラチラ見ている気がする。見てないようなフリをしてるけど、自分にはわかる。 ていうか、女の子はだいたい、そういうのわかるんだよ、すぐ。  そもそもうちの店のユニフォーム、意味なくスカートが短いのだった。そのうえ私は、店のロゴ入りのサンバイザーをつけたままだし、上からユニクロの白のカーディガンを羽織っているだけでいる。  バイトで同僚のユカは、もうさっさと私を置いて、一人で帰っていそうだった。お疲れ、なんていうラインも、さっきから一言もない。  そして目の前の三人は……さっきからムッツリした顔で、しきりに考えこんでいる。  私たちのいるこの部屋は、天井の高いリビングルームで、頭上でくるくると、大きなファンの羽根が静かに回ってる。  中の調度は、だいたいIKEAとかで売ってそうな、リビングセットそのままという感じだ。座ってるソファも黒革のごくシンプルなもので、座り心地は悪くない。無地のネイビーのカーテンのかかった窓際には、枝が楕円形に曲がったような、変わった形の大きな観葉植物の鉢が置かれてある。 ……まあ、それは確かに、改めて言われてみればーーこれでは、いささか素っ気なさすぎるようだった。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加