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「…………っ」
陽子の背中に向かって声を出したかったが、出せなかった。
本当は言い訳をしたかった。全て俺のせいじゃないんだ、と。でも、これ以上嫌われたくなかった。
「……折茂、めっちゃ怒ってたやん」
後ろから仲間が呟く。どういう顔をすれば良いか分からず、仲間の方を振り返ることはしなかった。
「雄吾、もしかして折茂って月島のことで怒ってたんちゃうか?」
もう一人が俺に向かって訊ねたが、俺は返すことも頷くこともしなかった。そのまま続けられた言葉に、俺は唇を噛み締めた。
「それならや、雄吾のせいちゃうやんか……」
俺は「ああ、せやな」とだけ応えた。亀がまた一匹ぽちょんと池に飛び込んだ。
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