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「これが音羽の滝ですか」
「そうよ」
本堂からの階段を下りた先の左側。
およそ4メートルほどの高さから、三筋の滝が流れ出ている。
「おいていくなんて酷いやないか」
僕らの声や足音を頼りになんとか追いついてきた先輩が、ブツブツと文句を垂れている。
「この水を飲めばいいのかしら?」
「そうかもしれませんね」
「おぅ、圧倒的無視・・・」
寂しそうでいて少し嬉しそうな新谷をよそに、古川は向かって右側の滝の前へと進む。
「知ってる?これらの滝にはそれぞれ違ったご利益があるのよ。左が『学業成就』。中央は『恋愛成就』。そして右が『延命長寿』。私は不老不死になりたいからここね!」
「なら俺は真ん中や!」
「じゃあ、僕は左で」
それぞれが位置につき、滝の水を柄杓ですくう。
「じゃあ、せーので飲みましょうか」
「わかりました」
「了解や」
「いくわよ。よーい、どん!」
「せーのやないんかい!」
息の合わない合図のせいで少しばらつきはあったが、3人が滝の水を口に含む。
「ん?またか・・・」
次の瞬間。東京タワーの時と同様、僕の視界にノイズがかかった。
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