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「じゃあ、早速出発するか」
「そうね」
「先輩、ちょっといいですか」
部屋を出ようとする先輩たちに、神妙な顔持ちで声をかける。
「どうしたんや守。そんな真剣な顔して」
「実は・・・」
普段は見せないその顔に、新谷と古川がゴクっと唾を飲み込む。
「トイレに行きたいんですけど」
「「ズコー」」
お決まりすぎるボケに、2人が揃ってずっこけた。
「トイレなら台所の先や」
「ありがとうございます」
予想通りの反応をしてくれたことに満足しつつ、尿意を催していることを感じさせない軽やかな足取りで、トイレを目指す。
ゴトッ。
「なんだ!?」
道中の台所から物音がしたことで、軽やかだった僕の足が重やかに。
「・・・だ、誰かいるんですかー」
恐る恐る呼びかけてみるが反応はない。
「・・はいりますよー」
戸を開けて中の様子を確かめると、そこには見知らぬ人影が。
「うわ!」
思いがけず未知との遭遇を果たした僕は、思わず素っ頓狂な声を上げた。
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