5人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
「・・ん。着いたわね」
「先輩の身体どうなってるんですか」
「なに、セクハラ?」
「ちっ、違いますよ!」
胸元を両手で隠し、訝しげな表情でこちらを見てくる古川。
確かに、今の言い方は誤解を招く可能性があったと反省する。
博多駅に到着するとほぼ同時に目を覚ました古川。
先程まではどうみても爆睡していたので、急に起きたことを不思議に思っただけだ。
「まあ、冗談はこの辺にして・・」
「心臓に悪いのでやめてくださいよ・・・」
最近はハラスメントに関する理解が深まったことで、その曖昧な線引きは厳しくなりつつある。
ハラスメントによる被害者が減ることはとても良いことだが、その反面、規制はどんどん厳しくなり、表現の自由は損なわれつつあった。
果たしてそれが正しいかたちなのか。
答えが出るのは、もっと未来の話だろう。
「いよいよ最終試練。オカルト部始まって以来の重大任務『人類救出』。必ず成功させるわよ!」
「「おー!」」
部長の掛け声に、部員が大声で応える。
運動部に所属経験のない僕は、その団結感にちょっとした高揚感を覚えた。
最初のコメントを投稿しよう!