時代遅れのオカルト部

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時代遅れのオカルト部

「今日は宇宙人よ!」 まるで今日の献立を伝える母親のように、凡人には理解不能なことを言い出す先輩女子。 昼休みの開始を告げるチャイムが鳴り終わるよりも前。 一年教室の僕の席に忽然と現れたかと思うと、意味のわからないことを言い出し、ただでさえ目立つ胸をさらに主張するように腕を組み、自信満々な態度で僕の反応を待っている。 「・・・は?」 そんな彼女に僕が返したのは、不満混じりの疑問の声だった。 「なに、聞こえなかったの?宇宙人よ。う・ちゅ・う・じ・ん!!」 「いや、だから何?」 まるで全ての非が僕にあるかのように大きな溜息をつき、「やれやれ、これだから最近の若い奴は・・・」と呟きながら、僕と同じ制服を着た女子高校生が大げさに肩をすくめる。 「宇宙人っていうのはね、地球以外に住んでいる生命体のことよ。まあ、地球も宇宙にある星の一つであるから、私たち人間も一種の宇宙人であるといえるわね。最近の研究では・・・」 一体いつ息をしているのだろうかと不思議に思うくらいの早口で、丁寧に説明をしてくれているが、僕が望んでいる情報は何一つ得られない。 このモードに入った彼女を止められる人間を、僕はこの世で1人しか知らなかった。 彼が来るまでの間。通学時にコンビニで買っておいたおにぎりでも食べながら、彼女のことでも紹介しておこうと思う。 古川 瞳(ふるかわ ひとみ) 高校2年 B型。 僕の一つ上の先輩であり、僕も所属しているオカルト部の部長だ。 彼女を一言で表すなら『好奇心の塊』。 気になったことをそのままにしておくことをなによりも嫌う性格であり、都市伝説と呼ばれる類のものが大好物である。 そして、1人の人類を除き、人間と意思疎通ができないという致命的な欠点を持つ。
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