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第壱章ー開始の合図ー
さて、ご閲覧の諸君。お久しぶりだね。…初めましてじゃないかって?
いや、そんなことはないさ。確かにお久しぶりというのが正しい。
君たちが気付いていないだけで、記憶の奥底、潜在意識のなかには残っているはずさ。
それがヒトというものだからね。
…さて、談笑はここまでにしようか。簡単にだが登場人物を説明しておこう。
この物語には主要なる人物が五名ほどいる。
まず一人目だが、名は望月宇宙(もちづき そら)。
ボクが知っているのは左目の視力が圧倒的に弱いということ。
そして見えてはいけないものが見えてしまうこと。
見たくなくても見えてしまうってこわいだろうねぇ…。
次へ行こうか。二人目は桐生碧(きりゅう みどり)。
彼は鋭い嗅覚を持っているらしい。犬猫以上、そして気づいてはいけない芳り。
…あとは短気でそそっかしい。早とちりだしボクとは気が合わなそうだよ。
さてさて、次はボクのお気に入りさ。名は小鳥遊蛍(たかなし ほたる)。
あの子はどこかボクと似ているのさ。…え?興味ない?そんなさみしいこといわないでくれ…。ボクも泣いてしまうよ?
あの子は耳がとっても良い。良すぎるぐらいに。
聞こえてはいけないものが聞こえてしまう。聞きたくなくても頭に流れてくる。
ボクなら発狂もんだろうね。絶対に嫌だよ。
まあ、ボクの話は興味なさそうだから次に行こうか。
四人目は皇ユーリ(すめらぎ ゆーり)。
彼から漂う気品は名の通り皇族及び王家の品格が伺えるね。
但し、彼は相当な美食家なようで辛い物が好物らしいね。
其れが故にか彼は感じてはいけない味覚をもってしまったようだ。
なんとも形容詞し難い味は彼を苦しめているだろうね。
そして五人目。神楽弥生(かぐら やよい)。
彼女は感覚に置いて異常に特出している。
目で見るよりも、耳で聞くよりも、体で感じたほうが何倍も正確。
彼女はその代償に痛覚を失ってしまった。血がながれども痛みを感じない。
さあさあ、ここまでで五名。諸君。しっかり記憶したかね?
この子たちを覚えてあげなければ話は面白くない。
何かを得て何かを失った少年少女たちの物語をこれから始めようか。
あぁ、そうそう。ボクも名乗っておこうかな。ボクの名は…
タカツキ。フルネームじゃなくてごめんね?訳合って言えないのさ。
じゃあ、また会える日まで。またね。きっと必ず会えるよ。
お話を始めよう。
NexT PagE➢
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