陽より日和

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誰かが言ってた。 外に出なさいって。 誰もが思ってる。 陽の中を歩くのがいいって。 正しいんだろうとも 間違ってるんだろうとも思わない。 僕は引きこもりじゃない。 春から都会っていえる街で仕事も始まった。 「きちんと」陽の光を浴びて生きている。 でも育った街では想像もできなかった都会の喧噪や、 慣れない生活に、ただただ転がっていくだけで陽なんて感じることはできない 陽より日和。 僕はそう呼んでいる 時々、全てを投げ出す勇気はないくせに 何に対してかはわからないくせに 少し、何かが嫌になることがある。 誰かが言ってた。 外に出なさいって。 誰もが思ってる。 陽の中を歩くのがいいって。 でも今日は違う。 そんなタイミングを「陽より日和」と呼んでいる。 夜が優しいとか月が綺麗とか ロマンチックな理由じゃない。 夜の飛行機を流れ星に見立ててみたり 大人なのに裸足で冷たいコンクリートに触れてみるとか 何でもないけど何かがある、心の隙間を埋めていけるタイミング。
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