時代の潮流

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 僕の半生を振り返ると様々な流行があった。  例えばオリンピックを発端とするスポーツブームや、何かをきっかけとするブームがそれだった。  だけど僕はその流れに動じなかった。  動じなかった、と言うよりは独自の道を進んでいたと思う。  最近で言えば動画になるだろう。  人はとかくに動画が好きだと思う。テレビしかり、スポーツ中継しかりだ。だが僕は、想像と言葉の畑で育ってきたので、映像を見せられても理解する前に終わってしまうので面白さをまったく感じなかった。  同じスポーツ中継を観戦するならラジオ派だった。声で伝えられる熱気と興奮から会場の雰囲気を得る。多少早すぎるように思うが、リアルタイムゆえのジレンマだ。スポーツには早さも要求されるので我慢をしている。  そんな訳で僕は本の虫になった。  書かれたモノを読む早さは僕が調整出来るから離れられない。巻き戻してリプレイする事も、人物の感情を考察するのも自在だ。もし神様がいるのなら、本を読むようにこの世界を見つめられるのだろう、と考える。
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