時代の潮流

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 本の虫の王者を自負する僕が、物書きを目指すようになったのは当然の流れだった。学生時代の知り合いで教師を目指した彼は、「俺は教師以外の仕事を知らないから教師を目指す事にした」と言うのと同じ事のように思う。両親も教師だった彼らしい発想だ。  本を一万冊も読めば「出来そうだ」と思える作品に当たる。苦労の末に大学在学中に文豪に比べれば足下にも及ばないが、僕の作品だと胸を張って言える作品を書き上げ応募すると、そこそこの結果を得られた。  在学中デビューには少しだけ間に合わなかったが、それなりの会社に就職してから新人賞を戴く事が出来た。  世の中では文学作品が話題になる事もあり、日陰者だった僕の時代が来たと肌で感じながら現在に至っている。  そうだ。ある本で読んだ「ネットでの発表は修行の場である」という言葉に深く感銘を受けた。なかなかヒット作に恵まれない僕は気晴らしのつもりで、僕は良いと思うがこれまで僕の作品に目をかけてくれた担当は没を出した作品を練り直して投稿を続けている。  やはりそれなりに関心があるようだが、ネット小説の世界でも上には上がいるものだ。下手に新人賞を戴いた僕よりも余程世間の流行に鋭敏なようで、ラノベにはないラノベ系作品に力がある。
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