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 新調したスーツに袖を通した悟史は式後、会場に設けられた各学校ごとのスペースに向かった。  成人式と言えば近年、逮捕者が出るほど荒れている地域もあると聞くが、東京近郊にある悟史の住む地域は、取り立てて問題があったことはなかった。  この年も曇一つない青空のように、晴れやかな式だった。  久しぶりに同級生たちと会い、中学の思い出を語り合っていると、 「久しぶり」  振り向くと、朱色の鮮やかな振袖姿で立っていたのは桜井であった。  そしてすぐ後ろにいたのは大河内。  中学を卒業してから、久しぶりの再会だった。  昔と変わらず溌剌とした桜井とは対照的に、大河内は桜模様の淡い色合いの振袖に身を包み、控えめにこちらを見つめる。  五年ぶりに見る姿だったが、化粧をしているせいか、あの頃よりもだいぶ雰囲気が変わっていた……。
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