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 クラスメイトがバイトをしているという居酒屋チェーン店は、この日のためにと気を利かせ、もともと座敷を確保していたようだった。  スーツや振袖は堅苦しいので場所を変えて飲もうということになったのだ。  テーブル席はほぼ埋まっていたにもかかわらず、こちらもかなりの人数だったがすぐに座ることが出来た。  当時クラス委員で一応まとめ役であった悟史だが、もうとっくにお役御免だろうと思いきや店につくと「河野、後はよろしく」と後の仕切りをすべて丸投げされた。 ――なぜおれが?  思いながらもことわれないところが悲しい性分である。  といってもそうたいしたことはなく、乾杯の音頭や挨拶は担任にふり、後は精算関係や時間を気にするだけのようであった。  料理や飲み物を適当に注文し、近くに座る旧友たちと飲みながら歓談していると、 「随分、盛り上がってるね」  桜井が大河内とやほかの女子とともにやって来て、空いた場所に腰を下ろした。  女性たちが加わり、一層思い出話に花が咲く。  皆の酒も進む中、 「河野くん、隣、いい?」  悟史が頷くと、大河内がちょこんと横に座った。 「久しぶりだな」  彼女は私服に着替え、化粧も先ほどとは違っていた。  かなり薄化粧だが、よく見ると口紅を引き慣れていないのか、僅かに塗り斑がある。 ――こういうところは、相変わらずだ。  悟史は心の中でつぶやき、中学時代の彼女を懐かしく思った。  元来、悟史はあまり他人に興味はないのだが、そんな中で彼女の存在を強く認識したのは、中三になって間もない頃だった――。  
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