おさんぽ。

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――そう、もう私を縛るものは何もないの。  もうこの町には、私の他には誰もいない。  名残があちこち飛び散って飾りつけているけれど、その色は外も中もなく視界に飛び込んではくるけれど。  私にとってそれは汚れではない。むしろ、全てを浄化してくれる素敵な赤だ。 『だって今日は、絶好のお散歩日和だもの!』  問題があるとすればひとつ。  風呂場に投げ捨てたままのベタベタの刃物を、どうやって処分するかということだけである。
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