金を得る

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 「この星を辿っていけば、レッドドラゴンのいる島まで行けそうだ」  捕竜船リバイアサンの船長ウィンスローは夜空に見える星座を見上げて頷いた。サーペントマイム半島ではドラゴンハントが盛んである。ドラゴンの脂肪分から採取されるドラゴンオイルは、街では灯りや船の燃料として使われるため、高く売れるので、ドラゴンハンターを目指す男たちは少なくない。  「船長、後方から大きな雲が接近して来ます。帆をたたんで嵐に備えましょう」  甲板から後方を確認していた航海士バスカが提案した。早い風速で湿った冷たい風が吹いている。海中で泳ぐ魚のかずも、上空を飛ぶカモメのかずも少なくなってきた。帆を広げっぱなしにしていると、強風に煽られて転覆してしまう。  「進路を変える気はない。突っ切るぞ。だが堅パンやナッツと水は確保しておけ」  ウィンスローは星を見上げたまま、そう言った。
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