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<月面観光に行きます>
<火星に農園都市建設の投資をします>
<ビエンチャン海淵の希少鉱床開発会社を設立しました>
イベントや奇想天外な起業、奇行などでいつも世間を騒がせる宇宙規模のメガセレブ、フリント・ホーキンズ金田氏が、またお騒がせな提案をぶち上げた。
<金の含有率98パーセント、パラジウム2パーセントの100両金貨重量100グラム相当を100枚、低所得者層にプレゼントします。希望者は所得証明書とIDプレートのコピーを送付してください。該当者を厳選後、星空のリゾートアイランドに招待します>
俺は素早く計算した。金相場は変動するが仮に1グラム当たり5500円として、ピッポッパ・・・5500万円也。100枚ということは、100名に当るということだろうか。、つまり一人当たり55万円。もし独り占めなら、うひゃうひゃ、笑みがこぼれた。俺はさもしい妄想に夢中になった。ひと月10万にも満たない所得者にとっては、まさに夢の話だ。
応募者はたくさんいるだろうけど、ダメ元で、俺は所得証明書とIDプレートのコピーを送付した。
一か月、二か月と過ぎ、夢の話はすっかり忘れて頃になって、フリント・ホーキンズ財団事務局から分厚い重要書留が届いた。
<おめでとうございます。厳選なる抽選の結果、貴殿が当選いたしました。つきましては、祝賀会と授与式を執り行いますので、南太平洋の星空島までお越しください。なお、当選された方々は低所得者層に分類されておりますので、見栄を張らず、普段着のままでかまいません。詳細は別紙のとおりでございます云々>
航空券の引換証、宿泊券、星空島の観光パンフレットなどが同封されていた。
俺はすっかり有頂天になった。
大金持ちへの一歩を踏み出したのだ。
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