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教職過程専門の講義ではいつも机並んで座ったり、自由選択の教養課目は何を選択しようか情報交換し合ったり、萌ちゃんとはますます仲良くなっていった。 萌ちゃんに連れられて、またジャズサークルにおじゃまさせてもらうこともあった。倉野先輩が言ってた通り、出入り自由なサークルみたいで、行く度にいるメンバーが違う。この緩さなら、私でも参加出来るかなあ。 いつ行っても歓迎ムードな空気と、ジャズに興味が出て、実家に行った時に、もう何年も弾いてなかったピアノに触れたり、動画サイトでバンドのジャズ演奏見てみたりした。少しずつ気持ちが傾きつつも、まだ「入る」決心まではつかない、そんな時だった。 「新歓のコンパ?」 もうすっかり顔なじみになった倉木先輩に誘われた。 「うん部室には滅多に寄り付かないメンバーも来るから、良かったら遠藤さんもおいで」 「え、でもあたしなんかがおじゃましていいんですか? まだ正式にメンバーに入ってないのに」 「え、まだ正式にメンバーになってなかったの?」 「この際、既成事実作って引きずり込んじゃうつもりなんじゃないの? 倉木が」 他のジャズサーのメンバーが、横からちゃちゃ入れてくる。 「うるさいよ、お前ら。ま、入る入らないは、まだじっくり考えてもいいからさ。新入生はタダで飲み食い出来るし、軽い気持ちで来てみたら?」 うぅ、けいちゃんと同じ顔で誘われると断りにくい。聞いてみたら、萌ちゃんも岩城先輩ももちろん参加するらしい。 大学生といえば、コンパだよねえ。あたしも1回くらい参加してみたいなあ。合コンは流石にけいちゃん許してくれないだろうけど、サークルの新歓コンパくらいなら平気かな。 「じゃ、じゃあ途中で帰るかもしれないけど、行きます」 大学生活は新しい刺激と発見がいっぱいあって、あたしは完全に浮かれてた。あたしの軽率な行動が、あとで大きな波紋を呼ぶことに、その時のあたしは、全く気づいていなかった――
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