オトナの誘惑

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大学近くの無国籍料理のお店で、Ｒ大学のジャズサークルの新歓コンパは行われた。萌ちゃんと岩城先輩以外に新入生のメンバーは６人入ったらしい。あと、あたしみたいに態度保留にしてる１年生が３人参加して、全部で３０名くらい。奥の板の間のスペースを借りきっての宴会になった。

アジアンテイストの店内は、ログハウス風の木材が剥き出しの建物で、南国を思わせる椰子の木みたいな観葉植物が置かれて、板の間には座布団でなく、籐で編まれたクッションが置かれてる。

（こーゆーとこでやるんだあ）

萌ちゃんの隣に座って、辺りを見回してたら、ドリンクメニューが回されてきた。飲み放題のプランになってるから、乾杯用の飲み物選んで、と隣に座った３年生の女の先輩に言われた。

萌ちゃんとふたりで、ソフトドリンクのページ見てたら、その先輩がきゃははと笑った。

「カクテルにしちゃいなよお。１杯くらいなら平気だって」

萌ちゃんと思わず顔を見合わせる。う。どうしよ。

『コンパねえ。行ってもいいけど、酒だけは飲むなよ、未成年なんだから』

渋々ながら参加を了承してくれた時の、けいちゃんの言葉を思い出す。けいちゃん、心配性だからな。

でも、聞いてたら他の１、２年生もフツーにビールとかサワーとか頼んでる。

「ここねえ。緩いから平気だよ」

先輩が小声であたしたちに耳打ちしてきた。お酒って、殆ど飲んだことないや。ソーダ割りなら飲みやすいよ、て言われて、好奇心に負けて、ゆず酒のソーダ割りにしてみた。１杯だけ、１杯だけにするから。ね？　けいちゃん。