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パーキングの車に乗ってからは、けいちゃんは無言だった。助手席には誰も乗ってないみたいに、フロントガラスの先の景色しか見ない。 お説教されるなら、された方がいい。話しかける緒すら掴めなくて、あたしは唇を噛み締めた。 そして、家に着くなり、あたしが連れて行かれたのはバスルームだった。 「何杯飲んだ?」 白いタイルにあたしの身体を押し付けて、けいちゃんが聞いてくる。あたしを責め立てるような視線を、まともに受け止められなくて、俯いて答えた。 「…ソーダ割り2杯」 「そう、じゃあ酔い醒まししようね、千帆」 そう言うとけいちゃんは蛇口のレバーをきゅっと捻る。あたしの頭上に固定されたシャワーから、一気にお湯が降り注いだ。 「やあ…っ、服…着てるのに…」 髪は額に頬に、そして着ていたブラウスもカーディガンも、全部肌に張り付いて気持ち悪い。 「じゃあ、脱がしてあげる」 けいちゃんはまず、カーディガンのボタンを外して、袖口を腕から抜こうとする。 「じ、自分でやるから…」 「今日は髪から身体から全部洗ってあげる」 「や、やだ…っ」 拒むと、けいちゃんの顔がまたすっと真顔になった。 「千帆に拒否権なんて、あると思ってる? これはお仕置きだから」 「ご、ごめんなさい…あたしが、悪かったです」 「酔って、気が大きくなって、判断力失って。俺が迎えに行かなかったら、例えばあのナントカ先輩にお持ち帰られて、千帆の意思なんて関係なく、ヤられちゃってたかもしれない。お前、そういう怖さ、わかってる?」 危機感のなさをとくとくと説明されて、自分の甘さを思い知る。 「…先輩はそんなこと…」 「へえ、随分信頼してるんだね。あんなにお前に未練たらたらに追いかけてきた男」 「せ、先輩は優しいだけ…」 けいちゃん妬いてる? けいちゃんの嫉妬を軽くしようと先輩を庇えば庇う程、けいちゃんのイラツキは大きくなった。 「優しい? オトコの優しさなんて、下心と同義だってこと、いい加減知ったほうがいいよ、千帆」 断言して、けいちゃんはあたしの上半身から、ブラウスを剥ぎ取った。
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