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予告編 商人レーネスと蒼眼の格闘少女
僅かに月明かりが差し込む山林を少女が駆ける。
繰り出した拳は籠手の装甲に覆われ、男が振り下ろした斧を容易く砕く。
右手を引くと同時に左拳を繰り出し、顎を砕いて意識を断つ。
更に凶器が迫る。次は直剣だ。
しかし少女を傷つけることは叶わず、虚しく空を斬る。
少女はフレアスカートを翻して後ろ回し蹴りを放つ。
ブーツは脚甲で覆われており、山賊の鎧ごと肋骨を粉砕する。
少女は足を止めることなく、次の獲物に向け加速する。
山賊の男は反応出来ない。彼には少女の姿が白い影にしか見えなかった。
少女は速い。
力ない者達を、集団で襲うことしか出来ない山賊達。その彼らが彼女に勝てる道理などなかった。
右側面に回りこんだ少女の上段回し蹴りが顔面を捉える。
哀れな男は何が起こったか分からないまま、意識を失い空中を三回転して地面に落ちた。
瞬きする間に三人の男を打ち倒し、残りの山賊に向き直る。
少女の名前はティアーネ・エルメルト。
彼女との出会いが、彼女の言葉が、私の人生を変えた。
進むべき道を、示してくれた。
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