タマキン、ドンピシャの巻

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銀次が目覚めてから、服を着た珠希はとなりに横たわって「高鷹に浮気バレた」と開口一番に伝えると、彼は寝ぼけ眼を手のひらでこすりながら「2回もイったってちゃんと教えた?」と尋ねた。 「ううん。ただ1回セックスしたって言っただけ」 「そしたら?」 「2回めは無いからなってさ」 「寛容な男だな」 「でしょ」 「でも俺のこと、1回くらいは好きになってくれた?」 「うん。……バカなところと、素直に弱音を吐くところがとても好き」 「コウヨウに似てるんでしょ」 「わかる?」 「奴より早く出会ってりゃよかったな」 「そうだね」 「……これからどーすんの?別にずっと泊まってていいけど」 「帰ろうかな」 「天音んとこ?」 「ううん、横浜」 「双子と仲直りできるの?」 「さあ。でもアイツなんかより、高鷹のことでイライラしてたのが大きかったのかも。もうすっきりしたから、とりあえずいま弟の顔見ても殴らずには済みそう」 「そりゃよーござんした」 「ありがと」 「俺こそ」 「高鷹と別れたらまたセックスしよう」 「別れそうになったら教えて。……横浜まで送るよ」 「平気だよ」 「珠希を送り届けたあとで、海見てたそがれたいから」 「そう?……じゃよろしく」 そのあと出勤前の星崎邸に立ち寄り帰る旨を伝えると、サラたちは「急にどうしたの?」と驚き、天音には不安げな顔で「アイツなんかしたの?」と問われたが、珠希は「すっごく楽しくて、なんかもう満足しちゃったから」とだけ伝えた。本当は昨日の朝、天音からサプライズの誕生会をやると言われていたが、結局参加できなかったことを詫び買っておいたプレゼントを耀介に渡すと、彼は見たことのない照れ臭そうな顔で笑い、「ありがとな」と柄にもなくハグをしてくれた。 「銀次くんは芳賀くんとよーすけとももっと遊びたいみたいだよ」と伝えると、「遊びたいんじゃなくて僕たちに構ってほしいんだろ」と芳賀が言い、ふたりそろって意地の悪い笑みを浮かべていた。
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