HALLOWEENからはじまるほんとの恋

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和泉ちゃん達の行動は素早かった。演劇部に和装の服を借りに行ってくれた。 「これ、着物ドレスっていうんだって、かわいいでしょう‼」 「ユキには絶対、紫色が似合うと思うの」 着物の様に、胸の前で襟を合わせ、丈がかなり短めの、フリフリのワンピースが、ひらひらと宙を舞う。 「ちょっと待って‼僕がこれ着るの?」 「当たり前」 「だって、僕、男だし、似合う訳ないよ」 「半分は女の子でしょう、ユキ」 和泉ちゃんの言う通りだ。 大好きな彼に振り向いて貰いたいもの。 いっぱい好きって言われたいし、可愛いっても言われたい。半分は女の子だもの。 少しくらいキュンキュンしてもいいよね。 「ありがとう、ちゃんとクリーニングに出してから返すね」 「ユキ、頑張るのよ‼」 「うん」 和泉ちゃんたちにお礼を言って、受け取った着物ドレスを紺色のスクールバックの中にそっと仕舞い込んだ。 「ただいま・・・あれ!?」いつもいない彼が珍しく早く帰って来ていた。 「お帰りユキ」 玄関を開けると笑顔で出迎えてくれた。彼の長い足に小さな女の子がしがみついていた。 目がくりくりしてて、すごくカワイイ。目尻の少し垂れている所が彼に何となく似てるかも。 三才くらい・・・かな? 「こんにちわ」って挨拶したら、ぷいっと顔を逸らし、彼の後ろに隠れてしまった。 「この子は・・・」 「わたしのパパ‼」 「へぇ~~そうなんだ。パパって・・・!?えっ!?エェェ--‼」 腰を抜かすほど、吃驚して声を上げた僕に、その女の子は、頬っぺたをこれでもかと膨らませ、睨んできた。
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