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そして迎えたハロウィン当日。
「ねぇ、聞いて、聞いて‼」
「はい、はい。さっきから、何回も聞いてる。良かったねユキ。一歩前進して」
「うん‼」
あのあと彼といい雰囲気になったんだけど、もうちょっとのところで、るあちゃんは起きるわ、彼のお兄さん夫婦が来るわで、折角の初エッチはお預けに。
でもね、彼、
『いずれ、ガーランドに渡り、ユキと結婚してしたいな。子供も欲しいな』
って。
涙が出るくらい嬉しかった。
「で、私に何を手伝って欲しいの?」
「これを、塗って欲しいんだ」
ラメ入りのリップグロスを和泉ちゃんに渡した。
「なかなか上手く塗れなくて。手は震えるし、はみ出すしで、何回も練習しても上手くいかなくて」
「そっか、いいよ。ユキの恋の成就のためなら、何でも手伝ってあげる」
和泉ちゃんと、近くのコンビニに入り、ペットボトル二本を購入し、イートインスペースに向かった。
「折角だから、薄く化粧してあげる。可愛くしてあげるね」
椅子に座ると、和泉ちゃん、スクールバックから小さなポーチを取り出した。
「ーー彼が、キス以外の事をしてこなかったのはね、子供が出来てしまう可能性があるから。彼の兄弟の奥さんは、15才で妊娠して、16才で出産したみたい。まわりが青春を謳歌するなかで子育て中心の生活をしなければならない大変さを、誰よりも彼は知っていて、避妊するくらいなら、しない方がいいって、我慢してたみたい。和泉ちゃん、もし、彼との間に赤ちゃんが出来たら、学校を辞めないといけなくなる。それでも、友達としていてくれる⁉」
下地のクリームを薄く肌に伸ばしていた和泉ちゃんの手が止まった。
「当たり前でしょ‼」
彼女の頬を一筋の涙が零れ落ちた。
「ユキは親友だもの」
涙を手で拭いながら笑顔を見せてくれた。
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