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そんな事を考えているうちにガラッと浴室のドアが開いて。濡れた前髪を指で掻き上げながら、裸体の男が姿を現した。 均等のとれた逞しく、引き締まった体は一切無駄がない。
「なに、見とれてんだ真生」
くすくすと笑いながら発するこの声。 憎たらしいほど、顔が整っているこの男。
数年ぶりに会う彼は、くそ真面目な黒メガネの優等生と揶揄された昔と違い、野性味溢れる大人の色香を漂わせる、美男子に劇的な変化を遂げていた。
同い年のはずなのに・・・
「いやぁ、昔と全然違うから、びっくりした」
そう言いながら、ふと、下に目が行った。
クラスの男子の中でも断トツのデカさを誇っていた彼のモノ。
淡い茂みの中にあっても、存在感は半端じゃなく。
「そんなに、見るなよ、恥ずかしいだろ」
照れ笑いするその表情も昔のまんま。
そう彼こそが、幼馴染みの、宮尾葵。まさに、その人で。
「って、いうか、何で、人んちの風呂に入ってんだ⁉」
「帰り、たまたまお前の母親と一緒になって。真生に用事がある、そう言ったら、家で待つように言われて。途中で雨に降られて、シャワーを借りた。それより、蓮の事、風呂いれたら⁉」
「なんで、息子の名前を知ってるんだ」
「お前の母親に聞いた」
お袋の事だから、余計な事まで彼にペラペラ喋っているんだろうなぁ。驚き過ぎて返す言葉が見当たらない。
「パパ、寒い」
「あっ、ごめん」
思いがけない幼馴染みとの再会に、すっかり息子の存在を忘れていた。
つくづく駄目な父親だ。
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