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彼の髪の毛は 例えるとポメラニアンの ふっさふさな 柔らかい毛並みに とてもにている。 彼は自転車通学だ。 桜が咲いているこの季節、 ヘルメットをしない彼の髪の毛は ふさりふっさりと 春の風になびき 学校についたときには もっふもふに なっている。 彼はそんな頭を気にして いつも手ぐしで髪の毛を整える。 柔らかい彼の髪は しっかりそれで整えられる。 そしていつもそんな姿、否、髪の毛に 私は見とれていた。 私はその日がクラスで集合写真をとる日だと知っていた。 彼はいつもと同じように 髪をなびかせて学校にきた。 もふもふもふもふ 彼の髪が揺れる。 教室に入ってすぐ、彼を呼び止めて教室のすみに呼ぶ。 「はい。」 私は彼の手に、ピンク色の折り畳みのクシを差し出した。 「あげる。」 彼とは一言も喋ったことがなかった。 それでももしもこれが恋の始まりになるならば 彼はきょとんとした顔をしたが、クシを受け取った。 「ありがとう。」 彼は席に着くと、早速髪の毛にクシを通す。 もふもふもふもふ もふもふは恋の予感だ。 たしかそんな名言が 私の辞書にのっていた。
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