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いきなり目の前に突き出された籠には、溢れんばかりにぎっしりと野菜が詰め込まれていた。
「…え?…たもつさん?」
三軒隣の住人、滝口 保さんが不機嫌に籠を私に押し付ける。
「お…俺っちでも食いきんねぇからよ…その…あんたんとこで食ゃ良いよ。」
「そんな。食料は一杯保存しておかないと駄目なのよ!?」
…大変なことになるから…
「あぁん!!葉物なんて持ちゃしねえさ!置いといたって腐らせるだけなんだ。」
尚も躊躇っていると、保さんは首に掛けていた手拭いでゴシゴシと顔をこすった。
「…だけどこのことは人に黙っとくんだぞ?…婆さんも!わかってっぺな!?」
「あいよ。すまないねぇたもっちゃん。あんたんちだって大変だろうにさ。」
私の後ろから戸口にやってきたおばあさんが笑顔を向ける。
渡された籠を持って見つめると、彼は怒ったような表情でぷいと顔を背けた。
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