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海がきれいだね。
確かあなたはそう言った。
そのときはまだ5月になったばかりで、海に入るとか、そんなデートではなかった気がする。
私が作ったサンドイッチをもって、海に出掛けた。
といっても、私たちは海に近い町にすんでいるのだから、歩いて砂浜に足をのばすだけのことだった。
確かに海はきれいだった。
あの日も、そして今日も。
空がきれいだと、海もいっそう綺麗だ。
太陽の光を嫌ってほど反射して、キラキラ輝いている。
風も心地よく頬を撫でる。
そんな天気に誘われて
サンドイッチを手作りで作り、海の近くまで歩いていく。砂浜に着くとサンダルを脱いで足の裏に砂を感じる。
あなたが大切に集めていた、一番お気に入りのピアスを海に放り投げる。
出来るだけ遠くに飛んでいくように。力一杯投げた。
今日はあなたを思い出すのに最高の一日よ
あなた日和
サンドイッチを口に詰め込む
喉につまりそうだ。
美味しくないサンドイッチを無理矢理飲み込んで叫ぶ
「天国にいってもちゃんと幸せな顔して笑ってなさいよ!!」
叫んだ拍子に涙がとまらなくなった。
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