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茜色の空
白い雲のかかる空の下で、アスファルトの上を鞄を抱えながら歩いていた
日が落ちてさえ残るかすかな暑さに晒されながら次の角を右へ
次第に見えてくる公園と赤く点滅する信号機が視界に入ってきた
通り過ぎる
通りすぎる
通り過ぎる
通り過ぎてーー
四羽の鳥が踊っている鉄のアーチの隙間から転がっていくボール
それを追いかける女の子がボールを持って戻ろうとした時
転ぶ
狭い道には似つかわしくない大きなトラックが迫ってくる
抱えていた鞄を放り出して小さな体を掴んで前に放り投げた
どうなったかなんて知らない
クラクションがけたたましく鳴る
女の子の泣き声と、名前を呼ぶ声が聞こえる
俺は……?
すでに魂は体を離れていた
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