昔語と安息の地

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俺が知りたかったものは未確定情報がある魔物についてだ 俺が遭遇した魔物はスプリガンだったな 他にもどこかで聞いたことがあるような魔物の名前が並んでいたが、これら未確定情報の魔物にも種類付けがされていた 一つ目は希少種 文字通り数が少ないため魔物自体の記録が少ない魔物がここに分類されている これらは情報が集まれば希少種という枠組みから外れ、他の魔物と同じように各ギルドに情報が行く 俺が倒したスプリガンもこの希少種に含まれている 二つ目は変異種 これは同じ種の魔物でも上位種と呼ばれる魔物ではなく別の変化を遂げた魔物が分類されている わかりやすく言うとゴブリンの上位種はゴブリンリーダー、ゴブリンキングなどゴブリンを集めて支配するタイプだが、変異種は通常ゴブリンが持ち得ない力を持って生まれた魔物だ 見た目は普通の魔物と見分けがつかないことが多かったり、普通ではあり得ないため情報がほとんどない 最後は混沌種 これはまあ、一言で言えば複数の魔物が合わさったキメラタイプの魔物のことらしい そんなことがあること自体書物を読んでから初めて知ったことだが、稀に出てくることが確認されているから実際に居るんだろう だが混沌と言われるだけあって今まで見つかった事例が50も満たない しかも全て種類が違う魔物同士のキメラなため、情報が一点物扱いだと 一通り書き終えてから本を取り出しページを捲ると、自分の書いた情報がしっかりと反映されている これは前に見つけたことだがしっかりとした書類にすると書物と同じ扱いになるらしく、自分の書いた物でも反映されたからわかりやすくしておいた まあ、参考にした資料も全部入っているから本当に纏めただけなのだが そして魔物の情報以外に見知った名前も見つけていた 見つけたのはギルドの資料ではなく図書館塔の奥、枯れ草色をした背表紙の古書 だから見つけたのは本当に最近になる 本に書かれていたのは二つ名持ちについて 彼らは人ではなく魔物が人の形を持つ…もしくは人から逸脱してしまった存在と書かれていた 前に俺が本で読んだ時は二つ名持ちは大きな功績を残したり計り知れない武力を持っているだとかで人々から呼ばれる名と書かれていたが… 全く書かれていることが違う (にしても、まさかここで名前を見ることになるとはな) 本に書かれていた名前は全部で14 そのうちの一つに見知った名前を見つけていた 口元をベールで覆った翠の目が印象的な女、夢見のアラトールの名前 彼女の名前がここにあるということは… 「……まあ、俺には関係がないが」 「ぴろ?」 またどこかで会うことはあるかもしれないアラトールが何者であろうと、俺が気にすることはない 開いていた本を閉じて腕の中へとしまう 気がついたら外は夕暮れがかっていた…結構時間かかったな ギルドの資料の整理はもう少しで終わるだろう 次に行く場所はまだ決めていないが、行く先でも探しながら本を読んだり依頼をこなすとしよう
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