ハーレム男と遭遇

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アモお手製の昼食をご馳走になった後、ひたすら本を読む 二冊ぐらい読み終わった所で溜まった石を置くと体がぐらりと傾きかけた (酷く怠い…魔力が少ないのか) 机に頭を打たなかっただけ上等だろう ソファーの上に体を預けながら自分の中の魔力を集める まだ、あまり魔力がない人間ぐらいの量はあるみたいだ しかしこの量でも体を動かすのは厳しいとなると魔族が魔力を使いたがらないのも分かる気がする 魔力を使うことは、命を削る行為と同じだ 自分の魔力の量を把握するためとはいえ出来るだけ魔術の使用は控えたほうがいいのかもしれないな 夕方近くまで本を読んでいるうちに普通に歩けるぐらいには回復したようだ 本を片付けるために立ち上がってもふらつかない 今日は椅子にアモが座っていたため一声かけてから出た 鳥もいつの間にかついてきている 「お前、ずっとついてくる気なのか」 「ぴろろぅ」 「……」 顔の脇にある頭を撫でると柔らかい羽毛の手触りがした 結果的に言えば、五日間で透明な魔石を全て溜め終えることが出来た その間ずっとアモの家で本を読みあさっていたものだから少し頭が痛い 朝、混み合った時間を避けてギルドへと向かうと兎耳の姿はなくチャラいギルド職員がいた 相変わらず耳にたくさんのピアスをつけている 「あ、おはよっすー。今日はどんなご用で?」 「依頼の報告に来た」 「あー、これっすね…。依頼主の人からまだなんももらってないんすけど、完了報告とかあったりします?」 「もらっている」 腰につけてあるポーチから昨日アモから渡された紙をギルド職員に渡した 片手でペンを持ちながら受け取ったのを見ていると少し、耳鳴りのようなものがした すぐに収まったものの一体なんだ? 考えているうちに手続きが終わったのか声をかけてくる 「確認しました。んじゃこれ、報酬です。無くさないでくださいよー」 「無くすわけないだろう」 「いやあ、わかんないっすよ!サウザンさん身長低いんで脅されるかも…ってえ!」 俺相手に冗談言って楽しいかと返そうとした時、後ろから目の前のギルド職員が思い切り本の面で頭を叩かれた 兎耳が立っている あれは痛い、容赦ないな 「無駄口叩いていないでさっさと渡したらどうですか?私はあなたのやらかした事を片付けていたというのに呑気なものですねぇ」 「あ、あははー…サウザンさんどぞ!じゃ、俺ちょっとやること思い出したのでー!」 俺に投げるように報酬を渡したと思ったら座っていた椅子から素早い身のこなしで立ち上がり奥へと入っていった 兎耳は…呆れたような目で見ている 「はぁ…もう少し、ちゃんとしてくれれば私も文句は言わないのですけれどね。何かあったら言ってくださいね?ちゃんと叱っておきますので」 「もしかして、兎耳はここのギルドで偉い立場だったりするのか?」 「そうですね、あたりです。副ギルド長をしていますよ。あ、今日は何か依頼は受けますか?」 「いや、今日はのんびりしているつもりだ」 「休息も大事ですからね。ゆっくり体を休めてください」 「ああ」 まさか副ギルド長だったとは…なぜ受付の仕事をしているんだろうな 依頼をする気が起きず、ギルドを出てきてしまったが…何もすることがない 街中をぶらぶらと歩きながら考えて、目に付いた串焼きを買って食べ歩く (…草原で寝てみるのは、いいかもしれないな。魔物はいるだろうがホーンラビット程度、それにさっきから何か違和感を感じる。 ギルドでも耳鳴りがしたし、ずっと何かをしているから体が休息を求めているのか。それともこれが成体変化の前触れなのか) 気にしても仕方がないので門の方へと向かう そのまま日が沈みかけるまで草の上をごろごろしていたのはいうまででもない たまにはこういうのも良いな
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