ハーレム男と遭遇

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宿舎へと戻ってからしばらくベッドの上で天井を見ていたが眠くなり目を閉じる だが眠っても何度も目を覚ましてしまう 緩慢な動きで体を起こすと、窓の外から月が見えた 月が霞んで見えるのは気のせいか (やはりどこかおかしい…それに、熱い) 自分の額を触るととても熱く感じる それを知ったところでどうにもできないが… 次に目を覚ますのはすぐだろうと考えながらまた目を瞑った 「んん……」 ゆっくりと意識が覚醒していく いま…何時だ? 寝る前に感じていた体の不調は何もなくなっている (いや、それはどうでも良い。……体が、大きくなっている!) 寝ながら自分の手を見ると子供のような柔らかい手ではなくしっかりとした男の手になっている ガッツポーズでもしたい気分だ ようやく子供姿から卒業できたことがとても嬉しい 髪は……相変わらず長いままだったが切ってしまおう 邪魔だからな ベッドの上から降りるとふらつきはするものの歩ける 着ていた服は布切れになってしまったがポーチは外していたから無事だ 中から大きいサイズの服を取り出して着る 今回は黒い布みたいなものは周りに落ちていないようだが一体どうなっていたのかがわからない 生まれるときと同じか? ポーチと一緒に置いてあった短剣で後ろ髪をまとめて切っていく 鏡なんてものはないから斜めになってても知らん 全部切り終えてから手にある髪を魔力を炎に変えて残さずに燃やす その後前髪も目にかからないあたりで切った ポーチと短剣を腰につけてから一度軽く伸びをして、廊下へ続く扉を開けた 下に降りていくといつもの場所に男が座っているのが見える が、俺の方を見た途端に目を丸くして指をさしてきた 「おま……大きくなってるじゃないか!やっぱりか!」 「は?」 「はあーー。魔族ってやっぱわかんないわ。六日間でここまで大きくなるもんか…」 「六日だと?そんなに経っているのか」 「そーそ。なかなか降りてこないし、一日経っても出てくる気配もなかったから見にいったらさ。部屋中に黒い糸っぽいので繭を作ってたからびっくりしたよほんと」 黒っぽい…繭? 「俺はそんな状態だったのか……」 まるで蛾だな 育ち方が人間じゃない 今更な気もする 「まあ無事でよかったよ。ちなみにここ使えるの今日までだからなー」 「わかった。世話になったな」 「良いって良いって。新人には優しくできてんの。……忘れてた、どっかいく前にギルドに寄れよ。サリが心配していた」 「サリ?誰だ」 「兎耳のギルド職員って言ったらわかるか?よく話していたと思うんだが」 「…確かに名前を聞いていなかったな。すぐに行くことにする」 「そうしてくれ。じゃあ冒険の無事を祈ってるよ」 男の言葉に軽く頭を下げてから宿舎を出る ここはギルド職員も使っていると言っていたから知っているのも当たり前か
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