ハーレム男と遭遇

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ギルドに顔を出すとギルド内にいた冒険者や職員に二度見をされた そんなに変わったか…? 子供が急に大人になったら怖いか 好奇の目を無視しつつ受付の方へ歩いていく ちょうど兎耳…サリの場所が空いたようなので向かった…依頼は受けないが 「おはようございます」 「……おはよう」 「その姿が、あなたの成長した姿…なのですね」 「ああ。…宿舎の男に聞いた。心配をかけたと」 「本当です。……無事なようで、よかったです」 兎耳は心底安堵したような表情を見せるが…確かに黒い繭が糸を部屋中に張り巡らせているのを見たらそうなるかもしれないな 俺がもし目撃したら魔物かなんかだと思いそうだ 「俺は明日にはここを出るつもりだ。一応……世話になったから。礼を言う」 「ふふ、あなたは真面目ですね。普通は挨拶なんてしないのですよ?」 そうだったのか 「ギルド職員はあくまでギルド職員でしかありませんからね。可愛らしい女性ならばともかく私のような男など覚える気もしないでしょう?」 「…普通は、世話になったら挨拶をすると思っていたんだが」 「挨拶をしにくる方もたまにはいますからね。気にしなくてもいいですよ。…ギルド長が手合わせしたいとか言っていたのですが、どうしますか?」 「いいのか?やらなければいけないこともあるだろう」 「いいですよ。終わり次第こき使いますので」 椅子から立つと受付の奥の方へと行った (いい笑顔でギルド長をこき使うと宣言していったな…立場的には下のはずなのに上下関係がはっきり見える) 誰もいないが受付を占領しているのもどうかと思い脇にずれたまま少し待つ 五分ぐらいしたところで兎耳に引っ張られてくるシンザが見えた 背が高くなったことで見上げることもなくなり首も痛くない 「伸びたな」 「第一声がそれか」 「あっはは、いいんだよ。じゃあさっさと手合わせしようぜ!ついでにランクアップの試験も兼ねてやる」 ランクアップか… そういえば俺のランクはずっとFランクで止まっていたな ホーンラビットと薬草しかやっていない気もするがこれでいいのだろうか …ギルド長がいいと言っているんだ、いいのだろう 二人でギルドを出ていつもの空き地へと行く 何回かした手合わせの中で野営の仕方だとか物の持ち運びだとかを教えてもらっていた 「前は…なんつーか、子供相手してるみたいだったからな。いや、実際に子供だが。今日は本気で行かせてもらうぜ!」 「わかった。…だが少し軽めに一度打ち合わせて欲しい。まだ起きたばかりで体が慣れていない……少しすればだいぶ良くなるはずだ」 「おういいとも!じゃあこれを使え」 ポーチから出して放り投げてきた棒を持つ 前は短剣だったが今手に持っているのは俺の腕の長さほどの木剣 シンザも同じように構えている (歩くのは問題ない。避けた時にうまくバランスが取れてくれるといいが…やってみないとわからないな。それに自分の間合いが子供の時のままなのはまずい) シンザが半身をずらすようにして構えているところに木剣を振り下ろす 剣の腹で防がれた攻撃は力をあまり入れていなかったから軽い 傍から、下から、正面からと打ち込みながらシンザの剣を躱していく 三十分ほど続けた時には自分の体をしっかり捉えることができた 息は切れているが、それだけだ 「…は、そろそろいいんじゃねえか?」 「…だいぶ、動けるようにはなった」
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