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「……わかった。ひとつ、聞いていいだろうか」
「なんだ」
「俺以外にもここを通った冒険者はいるはずだ。旅人も……彼らには頼まなかったのか?」
村に来ていた薬師が来なくなって心配だということもわかる
だから旅慣れた人に様子を見てきて欲しいというのも
だがもう薬師が来なくなって数ヶ月は立つと言っていた
そのあいだ1人もここを訪れないなんてことは決して無いはずだ
ここの村は街を結ぶ道の途中にあるのだから
「…頼んださ。護衛として雇われていたりしている時以外。だがな。冒険者のほとんどは利益がないとやらないようなやつばかりだ。……宿代をただにするぐらいじゃあ動かなかった、それだけの話だ」
「……」
「旅人は通っていないが…報酬を上げようにも俺たちにも生活ってものがある。いざと言う時、それこそ食べるものも何も無い時に金がなければものも買えない。それだけは避けたい」
冒険者は利益目的
この思考が一般人に染み付いているのは彼らの言う通り殆どが金の為に動くからだろう
冒険者として活動できるのは体が動くまで
その間に稼げるだけ稼がなければ自分が老いた時に生きることができなくなってしまう
彼らの言い分も正しいが、冒険者も必死なのだ
(……まあ、一攫千金狙いだとか有名になりたいだとか、その他の理由も山のようにあるだろう。俺も半分流れに身を任せてだが一番は身分証目的だからな。ネリスとリベルには感謝しないと)
「あんたの言うことはわかった。俺でよければ見てこよう」
「いいのか!…ありがたい。本当に…」
「いい。俺も薬師がどういうものか会って見てみたい」
男に宿屋として使っている部屋に案内してもらってようやく一息つく
まだ外での野営に慣れていないのかベッドに横になるとすぐに眠りたくなってしまう…木の上で寝るだけなのを野営と言っていいのかわからないが
寝転がりながら本を取り出す
ポーチに入りきらないため仕方なく腕に戻したから同じ場所から取り出した
ちなみに鳥は村に入る前に何処かに飛んで行った
「…一体何が書いてあるのか」
ページをめくってさっきは思わなかった『目次』を思い浮かべる
すると白いページに箇条書きに文面が現れた
『目次
・魂の記憶(九九八)
・書籍情報
・ーーーー
・ーーーー』
「なんだ…これは」
文字をなぞると意味が頭に浮かんでくる
魂の記憶はわかる…アドルヴァの言っていたことだろう
書籍情報はこの世界で今まで読んだ本や文字が追加されているのか
情報は武器とは言ったがこれは物理攻撃には使えないな
本の角で……やめておこう
「はぁ……」
他のページをパラパラとめくるが何も書かれていない
…もしかしたら読もうとする意思がないと出てこないのかもしれないな
目次には二項目の他に何も書かれていない場所が二つあった
いずれそこにも何か入るんだろう
……
「魔族とは一体なんなんだ」
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