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翌日になり下の酒場の方へと降りていくと酒場の主人がいた
昨日の片付けなのだろうか机を布で拭いているのが見える
…気づいていないな
流石に何も言わずに出て行くのもどうかと思い声をかけた
「おはよう」
「あ?ああ、あんたか。おはよう…もう出るのか?」
「そのつもりだ。一晩だけだが世話になった」
「そりゃこっちの台詞さ。あんたに余計な事を押し付けたからな」
「別に構わない。…俺も薬師がどういうものか、一度知りたいと思っていた。じゃあ…」
「ちょっと待ってろ」
男が拭いていた布をそのままにカウンターの奥、多分料理を作っているであろう場所に入っていった
少し経って両手に抱えられた皿と包み紙に包まれたものを見る
「朝食と、昼用の肉だ」
拭き終えたばかりのテーブルに乗せられた皿には黒いパンとソーセージ、目玉焼きが乗っている
脇に置かれた包み紙からは肉を日もちさせるための香辛料の香りが微かに漂った
男がじっと見てくる中食べ始める
居心地は悪いが味は普通に美味しい
それにしても村に鳥でもいるのか?
家畜として買っているのならば毎日のように食えるとは思うが、昨日と朝で何も鳴き声はしていない
「この卵は何の卵なんだ?」
「そいつか?ルールーの卵だぞ。ここら辺のは温厚だからな、育てやすいんだ。肉もうめえし、卵もうまい。それに繁殖能力が高いのもいい点だ」
「そうか」
鶏…のようなものなんだろうな
見たことはないが
食べ終えたあと手を合わせていると皿が無くなった
男が持っていったらしい
軽く声をかけてから酒場を出ると畑仕事に行こうとしているのか、数人の男女とすれ違う
中には子供もいたからもう戦力にされているのだとわかる
(田舎でもそうだったが農家や家族ぐるみの店なんかは子供の力でも欲しいものだからな)
村に入ってきた道の反対側に向かって歩いているとどこからかぴろろ〜と気の抜けるような声が聞こえてきた
上を見ると見上げた俺の顔に体当たりするように降ってくる白い塊
「……」
「ぴろっ」
ぴろっ…じゃないんだけどな
頭を振って上のものを落とすと俺の肩に止まったのでそのまま置いておくことにする
入り口にいる村人に声をかけてから出るとまた歩きだ
そのうち歩くのも飽きる日が来るのだろうか
今から考えたって何とも言えないが
二日野営をしてから昼過ぎに次の街へとたどり着いた
ぐるりと囲むように石壁が築かれているのを見てやはり石壁は街などの大きい場所にあるものなのかと思う
道は…村からこの街の間の方が長いのか
今回は鳥もずっと俺と一緒にいるらしく肩から降りる気配はなかった
「止まれ。身分証の提示を」
「これでいいか?」
ポーチからギルドカードを取り出して見せると門番の兵士に通っていいと言われたので通る
建物などの作りはほとんど変わらないがこの町の方が人が多いような気がするな
道から見える看板を頼りにギルドを探す
(白…赤…緑……屋台として出している店の屋根がカラフルだな。白か黒みたいに暗い色ばかりだった前の街とは大違いだ。これも街ごとで違うんだろう)
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