君の謎

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あのとき 雨だれのプレリュードの伴奏が入ったのは間違いなかった。 ライブが終わり、覚めやらぬ熱の中 朝紀と私はカフェにいた。 「聞いて驚くなぁ〜。実はこのチケットは吉良崎先輩がくれたのだぁ」 誇らしげに報告してくれた朝紀の言葉で、 私は確信した。 kiraは(たすく)だ。 前々から不思議に思っていた。 曲の節目に入るクラシックの旋律 あんなにヘビーな内容なのに、 時々どこか切なく流れるメロディ… あれは佑だから出来たことなんだ。 それじゃぁなぜ? 周りに黙っていたの? よほど考え込んでいたのか、 朝紀が「美羽(みわ)?どうしたの?」 と私の顔を覗き込んできた。 「あー…ごめん、何でもないよ。 ちょっとライブの余韻でボーッとしちゃった。」 そういうと、 「だよねぇ!!超かっこよかった!! 吉良崎先輩には感謝しなくっちゃ! あ!でもそういえば…吉良崎先輩と言えば、 いつも美羽のこと気にしてるよねー」 「えっ」 「だってさー、 美羽は気付いてないかもしれないけど、 吉良崎先輩はいつも目で美羽を追ってると思うよ?」 途端に顔が熱くなる。 「それは、その…」 「まぁ、2人には何か事情があるみたいだし… あまり口出しはやめとこって思ってんだけどね?でも…美羽は吉良崎先輩のこと、好きみたいだから」 そう言われて思わず心臓が跳ね上がってしまった。 「なっ、そんな…そんなことないよっ」 手をブンブンと、前に振り否定をしたけれど 「ダメだよ、バレバレだよ〜。」 と軽くいなされてしまった。
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