雷鳴

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雷鳴

薄暗い雲が空一面を覆っている。 ポツリポツリ…と雨粒が肩に落ちてきた。 「雨が降るのか…」 そっと目を閉じると耳の奥から 雨だれのプレリュードが流れてきた。 こんな日にはいつも思い出す。 母親と2人きりだった時間。 ポツリポツリと時折、 肩に落ちてきていた雨は、 細かな粒となって、どしゃ降りの雨へと変わる。 雨で前が何も見えない。 そのとき、激しい雷鳴が轟き辺りが光で包まれた。 「(たすく)見つけた…」 目の前に立っていたのは、傘をさした美羽だった。
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