雷鳴

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美羽(みわ)…」 目の前に立つ美羽をみて、思わず俺は尻込みをしてしまった。 彼女のその表情をみたとき、俺は悟った。 きっと彼女は気づいている。 俺がナスカのkiraだということを。 どす黒いコールタールのような熱の塊が、 ドクンドクンと自分の中で脈打っているのが わかる。 いつか、こんな日が来ることは頭のどこかでは分かっていた。 ただ、どこかでそのことに怯えていた。 俺は傘を放り出し美羽に駆け寄り、 雨の中濡れることも構わず噛み付くようにキスをした。 「(たすく)…っンッ…」 キスをしながらもガタガタと、俺は小刻みな震えが止まらなかった。 雨は更に強さを増し、雨粒は地面に叩きつけるように次から次へと俺らの元へ降り注いでいた。 どのくらいキスをしていたのだろう。 その柔らかな唇を離したとき、 美羽はあの日の夜のように 「このままじゃ風邪ひいちゃう。ウチに来る?」と俺の目をじっと見つめて囁いた。
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