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 葵の入浴を済ませた後、僕は先生に葵をお願いして、姉の病院へと向かった。 「葵、大仏みたいな顔になってきたね」  スマホで撮った動画を見せると、姉がとびきり優しい目で、画面の葵を見つめながら笑った。 「うん。神々しいよ。見てると、拝みたくなるくらい」  僕も笑って答える。 「そうそう、退院できそうだよ。来週の水曜日」 「そっか。良かったな」  このところ姉はぐっと回復してきてたから、そろそろだとは思っていた。ようやく我が子と会える喜びで、姉の表情はとても明るかった。 「新くんも来週末には一時帰国できそうって。休みは二日しか取れないけど、帰ってくるって言ってたよ。彼、諒には本当に感謝してたよ」 「毎日葵の写真を送ってたんだ」 「うん、すごく喜んでた。……本当に、ありがとう」  ううん、と僕は首を振る。僕にとっても、葵は誰よりもいとおしい存在なのだ。 「楽しかったんだ。葵とずっと一緒に過ごすのが。これっぽっちも嫌だなんて思わなかった。本当に本当だよ」  姉が目を細めたまま、うんうん、と頷く。 「先生もずっと一緒にいてくれて……」 と言った途端、なぜだか急に目頭が熱くなってきた。そのまま俯いた僕の頭を、姉がよしよしと撫でてくる。
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