葵

3

　そのまま僕に体重をかけて、今度は僕が押し倒される。先生のくちびるが、くびすじから鎖骨を伝っていく。すべての意識がそこに集中して、灼けるように熱くなる。

「ここ、」

　先生が、僕の胸の先を摘む。じんじんと痺れて、気持ちいいのか痛いのか、よく分からない。

「諒くんも、ここ触ったら気持ちよくなるかな」

　そう言って、先生は僕の左の乳首を口に含んだ。濡れた舌先で転がされる。途端に何とも言えない痺れが腰の辺りを走って、僕は叫んだ。

「……あっ、……やあっ！」

「嫌じゃないでしょう？」

　僕と同じ事を言ってる。絶対に仕返しされてる。片方を舌先で転がされながら、もう片方は指でやわやわと撫でられ、ぞわぞわとした快感に僕は身悶えた。

「気持ちいい？」

　僕は答えずに、首だけ振った。とにかく下半身が痺れて、どんどん熱が溜まってくるのを感じる。とても我慢できそうになくて、先生の腰を両腕で掴んで、固くなったペニスを押しつけた。

「先生……」

　視線で訴えると、先生が一旦身体を離して上半身を起こす。にっこりと微笑んで、僕を見下ろす。

「いい眺め」

　上機嫌な声で、目を細めて僕を見つめてくる。

「一緒に気持よくなろうか」

　先生の手が、僕のペニスにそっと触れた。そのやわらかな刺激にすら、僕の身体はびくりと大きく跳ねた。

「身体、起こして」

　手を伸ばしてきた先生と両手を繋ぎ合って、上体を起こす。そのまま抱き合って、何度もキスを重ねた。

　とろとろに蕩けそうな視線を交わしながら、おたがいのペニスを握り合う。先生のペニスは固く張っていて、先端はすでに濡れていた。それを擦り付けるように、ゆるゆると手を上下に動かす。

　先生も僕のペニスを握っている。それだけでもういきそうなのに、先生がものすごく色っぽい声で「諒くん、諒くん、」と耳許で囁くから、全身が性感帯になったみたいに熱くてたまらなかった。

「ごめん、……もういきそう」

　そう呟いた直後、僕は先生の手のなかで弾けた。
　何度も身体を震わせている間、先生は僕を撫でるようにやわらかく刺激しながら、放ったものを全て受け止めてくれていた。

「さすが若者」

と、またオジサンみたいなことを呟きながら、白濁で汚れた手のひらをまじまじと眺めている。
究極に恥ずかしい。お願いだからやめて欲しい。

「先生も、ほら」

　濡れた手に指を絡め、上から覆い被さるように先生のペニスを握し締める。速度を付けて上下に擦ると、「あっ」と先生が叫んで、大きく身体を震わせた。