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 貪るような長い長いキスが終わって、ゆっくりとくちびるが離れていく。先生がちゅっと頬にくちづけた後、もう一度強く抱きしめられた。  僕はすっかり息が上がっていて、浅い息を繰り返していた。しばらく経ってから、はあ、と惚けたように大きく息を吐いた。 「大丈夫?」 「……うん」  心臓がドキドキする。キスしながら、僕は先生の気持ちが分かってしまった。触れる手の熱さや、いつになく強い眼差しが、先生がいま欲情していることを伝えてくる。 「……どうしよう」  気持ちがそのまま、口から零れ落ちた。先生にぎゅっとしがみつく。 「怖い?」 「……怖いって言うか、ドキドキしすぎて死にそう」 「ごめん、諒くんが可愛いから、我慢できなかったんだ」  よしよし、と優しい指先が、僕の髪をくすぐった。 「僕は諒くんよりもずっと年上なことをすごく気にしてるし、新が触るだけで嫉妬してしまうくらい、心も狭い。諒くんがあんまり可愛いから、いつも不安になる。ほかの誰かにとられてしまいそうで」  僕の頭を抱え込むようにして、先生が僕を抱きしめる。 「僕は、諒くんのことがすごく好きだから、そばにいてくれないと、ダメなんだ」  それは、この世でたった二人きりになって、僕だけに縋る子どものような声だった。僕は先生の背中を撫でる。 「先生は損な性格だね。物事を悪い方に悪い方に考える」 「うん。根暗だし、嫉妬深いし、ドロドロしてる」 「じゃあ、僕みたいな人間と一緒に居た方がいい。僕はあんまり悩まないし、根暗でもないから」 「知ってる。だから惹かれるんだ」 「じゃんけんしようよ」  先生が身体を離して、「何?」という顔をして僕を見つめる。 「勝った方が今夜の主導権をとる。それでいい?」  そう言ったら、先生が一瞬きょとんとした後、にっこりと笑った。  
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