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 その後もお茶を飲みながら話して、片付けまで済ませたら、夜中の十二時を過ぎていた。  先生は明日も朝から仕事だ。いろいろあって疲れただろうし、早く休んでもらわなければと思い、とりあえず僕のベッドで休んでもらうことにした。  先にシャワーを済ませた先生が、Tシャツに濃紺のハーフパンツ姿で現れる。上気した肌に、長くてすらりと伸びた脚。またドキドキした。 「今夜はここで寝て」 「諒くんは?」 「ベビーベッドの横で寝る。夜中もミルク飲ませたりするから。朝食は和と洋どっちがいい?」 「和食でお願いします」 「了解。それじゃ、おやすみなさい」 「おやすみ」 「……先生、今日はありがとう」 「ん、おやすみ」  シャワーを浴びて居間に戻ると、葵がちょうど目を覚ました。おむつを替え、ミルクを飲ませる。ゆらゆら抱っこしてしばらくすると、すうすうとすこやかな寝息が聞こえてきた。ベッドに横たえて、頬を指先で撫でながら、可愛らしい寝顔を眺める。  正直に言えば、どうしようもないくらい不安だった。でも先生がここに来てくれたことで、その不安がかなり和らいだのは事実だ。人がそばにいてくれることの心強さを、僕はあらためて感じていた。  照明を消して、ソファに寝転んだ。 「おやすみ、葵」  疲れた身体はあっというまに眠りの世界へと引きずり込まれた。  泣き声で目が覚めた。カーテンを少し開けると外はもう明るい。時計を見ると六時前だった。葵がよく眠ってくれたおかげで熟睡できた。  いつものようにおむつを替えて、ミルクを飲ませる。ゲップ。しばらくあやして、ベッドの上で葵が機嫌良く遊んでいる間に朝食を作る。  わかめと豆腐の味噌汁。鮭の切り身を焼いて、納豆と海苔とキュウリの浅漬け。用意はできたが、先生が起きてこない。やはり昨日は疲れたのかもしれない。  僕の部屋のドアをノックするも、返事がない。少し躊躇したが、そっと部屋のドアを開けた。 「先生」  やはりまだ寝ていた。 「先生、朝だよ。ごはんできたよ」  近づいて、先生を見下ろす。横向きで、タオルケットにすっぽりくるまっている。 「先生、」  タオルケットの上から身体をとんとんと叩いたら、先生が、ん、と言って寝返りを打った。  その姿に、僕の身体は一瞬で固まってしまった。視線は離せない。いや、むしろ釘付けだ。静まり返った部屋に、ごくりと喉の鳴る音が響く。  僕のベッドの上には、タオルケットがはだけて、一糸纏わぬ先生の身体が横たわっていた。
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