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 それから一週間後、僕は二十歳の誕生日を迎えた。  前日に『一緒にお祝いしよう』と先生からメッセージが届いた。それなら僕が夕食を作って持って行くと返信したら、先生から『楽しみにしています』と返事が返ってきた。  十九時過ぎに先生から帰宅したという連絡があったので、僕は予め包んでおいた餃子(先生の大好物だ)を焼き上げ、炊きたてのごはんと春雨のスープをフードコンテナに入れて、餃子は大皿ごとラップをかけて、先生の家まで急いだ。  インターホンを鳴らすと、先生はすぐにドアを開けてくれた。 「いらっしゃい」  僕を見て、先生が笑う。確かに、片手には大皿、もう片方の手にはご飯とスープの入った大きなエコバッグを提げて息を切らしている僕の姿はさぞ滑稽だろう。 「せっかく急いできたのに」  僕がふくれっ面で言うと、先生は「おいしそうな匂い」と上機嫌でお皿を運んでくれた。 「腹ぺこなんだ。早速食べよう」  箸やお皿を並べて、先生が用意してくれたお酒もテーブルに並べる。見た目も可愛らしい、桃色のお酒だった。 「諒くんは甘いのが好きかなと思って、甘口のスパークリングワインを選んでみた」  先生がグラスに注ぐと、バラの花のような香りが漂ってきた。一口飲むと、確かにあまくて口当たりがすごくいい。 「飲みやすいけどアルコールが入ってるから、ゆっくりね」 と、二杯目を注いでくれる。それでもおいしいから、ついつい飲んでしまう。  あまいワインと餃子なんて、なんだか変な組み合わせだけど、それでも僕たちは楽しくお喋りしながらたくさん飲んで、食べた。 「ケーキも買ってきたから、後で食べよう」  食事が終わった後、残りのワインを飲みながら、先生が言った。かなりお腹いっぱいだったけど、ケーキは別腹だ。僕は「食べる!」と即答した。  三十分くらいソファに座って話をした後で、先生がいつものように紅茶をいれてくれた。ケーキは前に先生が好きだと言っていた店のもので、十五センチのショートケーキの全面が色とりどりのフルーツで飾られている。そして「Joyeux anniversaire! Ryo」 と書かれたクッキープレートがのっていた。 「わざわざ注文したの?」 「うん。フルーツてんこ盛りの方がおいしそうだから」 「ありがとう。嬉しい!」  そう言って頬にキスしたら、先生も嬉しそうににっこりと微笑んだ。
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