逆数え

1/16
前へ
/16ページ
次へ
 コウちゃんがいなくなった。  で――。  ぼくはそろばん教室の友達五人と、習い事が終わった後の一時間、遊んでから家に帰ることにしている。  手提げバッグを振り回しながら、今日はどこ行こうかと話ながら教室を出ると、誰かが「あの神社(・・・・)で肝試ししよう」と言い出した。  あの神社(・・・・)というのは、町の(はずれ)にある荒れはてた神社だった。  墨汁を染み込ませたような黒い木の鳥居に腐ったような注連縄が渡してあって、その前に「立入禁止」との札が立てられている。  大人たちからも、決して近づくなときつく言いわたされていた。  でも、小学校の上級生の中には、こっそり境内(けいだい)に入り込んで遊んでいる子もいる。ぼくは三年生だったが、同じクラスでもお兄ちゃんがいる子たちなんかは神社に連れて行ってもらったりしている。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加