まずは手伝いから

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「……確かに、マークの言うことも一理あるわね。 ではこうしましょう。学園は一月に一度は実家に帰ることが許されているから、その時は必ず帰ってくること。 そしてもし、姫様に似てきたら、その時はスッパリと学園をやめること。 この約束が守れるなら、入学してもいいわ」 「守る!もしお母さんに似てきたら、その時は運がなかったんだと思って諦める。ありがとう、母さん」 「ほんとに、頑固なところは姫様そっくりね。顔立ちはどちらかといえば団長に似ているのに」 ジュリアーノはため息をついた。 「あなたが決めたことよ。 励みなさい。自分の力で、きっちり入学してみなさい」 「うん!」 メアの学園入学については、とりあえず許可がおりた。 メアはそれから、少しずつ髪を伸ばし始め、あまり淑女らしくならないよう、平民の女の子のような肩くらいまでの髪の長さをキープした。 もちろん、勉強も頑張った。 ジュリアーノやマークに専門書を買ってもらい、毎日遅くまでルパートのところで講義を受けた。 近所の住民や食堂の常連客は、メアが女の子だったと知って驚いていたが、変わらずに可愛がってくれた。 そして、それから数年が経ち、アルバート国立医療専門学園の入園試験の日が来た。 メアは戸籍上、無戸籍だったのをマーク夫妻が養女として引き取り、メアリと名付けたということになっている。 だから、今のメアの名前は、「メアリ・ハンブルク」だ。 マークの家は子爵の称号を持っているので、メアリはハンブルク子爵令嬢という立場になる。 入園試験は、筆記と実技、それと口頭試問だ。 6歳だった頃のメアとは、もう違う。 医療の勉強をこなしつつも、子爵家令嬢としてのマナーや身のこなし、ダンスなどをジュリアーノからみっちり叩き込まれた。
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